とある生徒の話。ここで紹介するのは初めてだ。
この子は、小学生ということもあり、まあ、やんちゃの極みだ。
本当に、「ザ・小学生」という感じの、どこにでもいそうな普通の小学生。
集中力もあまり長続きせず、
疲れてくると、わざと悪態をついたりしてくる。
可愛いもんだけど、授業中のけじめはきちんとつけさせてあげないと、
逆にこの子のためにならないから、
何度か厳しく注意したことはある。
わざと、プライドを軽くへし折るようなことも言ってみたり。
もしくは、逆に何を言ってきても、あえて完全スルー。無視。放っておく。
と言いながら、その子の行動はちゃんと観察してるわけだけど、
下手に乗っかると助長するだけなので、何も言わない。
そうすると、そのうち大人しくなるもんだ。
とまあ、色々なことがありながらも、毎週必ず来てくれるのは、
ありがたいことだし、この子の強さでもあるのかな、とは常々思ってた。
そんなある日の授業。
この日も最初はいつものノリで来ており、
そう言えば、前の週に少しきつめに叱ったけど今日はどうかな、
なんてことを考えながら授業を始めたのだが、
たのだが!
んが!
この日のその子は、まるで別人のようだった。
それはもう、こちらが驚くくらい。
もちろん、良い意味で。
こちらの話は、ちゃんと聴く。
ちゃんと心で聴いてることが、やっているこちらにもひしひしと伝わってくる。
だから、もちろん問題の正答率もいつもの比じゃないし、
間違い方もまとも。
しかも、字も丁寧。
勉強への真剣な取り組みが、ちゃんと字に表れている。
ほんの数分前に、宿題の字の雑さを注意したばかりだけど、その差は歴然。
さらに、こちらからは何も言ってないのに、
自分が大事だと思った注意事項を自主的に書き始めた時は、
もう驚きを通り越えて、「感動」だ。
きっと、子供だからまた逆戻りしてしまうことは普通にあるだろうし、それがむしろ自然だと思うけど、
この日の授業はお互いの記憶にちゃんと残しておきたいものだ。
それでね、
こういうことを目の当たりに、直に経験すると、
やっぱり子供の可能性や潜在能力は未知数で、
自分たちは彼らのほんの一面しか知らなくて、
その「ほんの一面」だけで全てを判断しては絶対にいけないんだということを、
改めて思い知らされるんだ。
と同時に、
彼らの色々な面を引き出し、彼らのことをより良く知ることも重要なことで、
そのためには、
彼らをどこまでも信じ、彼らとガチの本音で接する
ということがとても重要なことなんだと思う。
もちろん、今回紹介したこの子に対しても、そうしてきてる。
それが、今回見せてくれた大変化につながったのかな、と
ちょっと自画自賛してみたりして。