春アカで導入させてもらっている教材の制作会社から、興味深いレポートが届いた。
東大教授の酒井邦嘉教授という方が書いたレポートで、
この方は、「言語脳科学」を専門としているらしい。
早速、どのような内容だったかというと、
特に興味深いと思った部分をそのまま引用しよう。
脳は基本的に非効率で、繰り返し見聞きし、そして何度も書いた情報を重要なものとして認識し記憶する特性がある。つまり、繰り返し学習など手間のかかる非効率な作業を行わない限り、学習効果は上がらないのである。
一方、効率を優先しデジタル機器に頼った短期集中の詰め込み型の学習は、記憶として定着させることに向いていない。学習は効率など度外視して何度も行うこと。繰り返し学習した結果、脳はそれを重要な情報として把握し記憶するのである。
繰り返し復習する非効率な学習や練習こそ、脳へ情報を記憶させるために有効であり、学習や練習の習熟度を上げることが記憶の深度を深めると述べた。では、記憶の定着に有効な学習法とは何か。それは、手書きで学習することだ。デジタル教材はパフォーマンス向上を重視した極めて効率的な手法だから、そのスピード感ゆえ、脳がその速度に追いつかず思考が伴わない。音楽でいえば、運指は器用に出来るが奏でられる音色になんらパッションを感じられない、機械的な演奏になってしまうのとよく似ている。
復習など繰り返し学習を子どもに習慣化させることは難しい。しかし、好きな分野ならどうか。漫画が好きで絵がうまい子なら、誰に言われるでもなく教科書にパラパラ漫画やノートに4コマ漫画などを書くだろう。そして、それを見たクラスメイトにほめられれば自信が付き、どんどん新作を生み出すようになる。そうした成功体験や繰り返しの修練で技術力は高まっていく。
そして、それは学習も同じだ。好きな科目や興味のある科目には知的欲求が刺激され、非効率的な手書きによる繰り返し学習も厭わず行うだろう。それにより成果が生まれ、それが成功体験となれば、今度は嫌いな科目にも、頑張って向き合う確かな動機となるのではないだろうか。
読みながらつくづく思ったのは、これ、自分が以前からずっと言ってることや思ってることと
全く同じだということ。
しかも、語彙力や表現力が乏しいせいで自分ではなかなか的確に伝えられなかったことを、
こうも見事に言語化してくれているのは、本当にありがたい。
自分の心もスッキリした感じだ。
非効率な、言い換えれば泥臭いことをやらないと、学習の習熟度は上がらない。
分かりやすく言うと、「勉強ができるようにならない」。
学習に有効なのは、デジタル機器ではなく、手書き。
自分の手でしっかりと書くことが、脳にとって適度なスピードで記憶に定着することにつながる。
好きな科目や得意科目でしてきたことと同じことを、嫌いな科目や苦手科目でもやってみるといい。
そのためにはまず、好きな科目で成功体験を積んでいくこと。
この他にも、
苦労せずに圧倒的なパフォーマンスを実現する天才や神童も、ほんの一握りだが存在する。しかし、それをうらやんでも仕方のないことで、非効率な学習や練習を繰り返し行うことで、誰もがある程度のレベルに到達することが可能となる。
というようなことも言っている。
これも、まさしくその通りだ。
特に勉強は、芸術やスポーツのように生まれ持った才能はほとんど関係なく、
繰り返しの努力だけでかなり高いレベルにまで到達できる。
この酒井教授には直接会ったこともなく面識もないが、
強く背中を押してもらったような気がする。
生まれ持った才能など関係なく、
そして、あえて「非効率」なやり方をすることによって、
学習効果は確実に上がっていく、ということだ。