君のことは、まだ覚えてるよ。
ちょうど授業の時間中、アポ無しで一人でやってきて、
「この塾に入りたいんで案内とかがあったら下さい!」って、
しっかりと礼儀正しく言ってくれたよね。
授業中だったこともあって詳しい話は何もできなかったけど、
「友達がここに通ってて、とても良いって聞いたんで」って君は言ってくれた。
あの時は嬉しかったよ。
そして、自分の意思で決めて、それをちゃんと行動に移すことができた君に、
僕は心の中で大拍手を送った。
でも、それだけでそこから先のことを決めることは出来なかったから、
親の連絡先だけ教えてもらって、その日は終わった。
で、その後、君の親に電話をしたんだけど、
こう言われたんだ。
「私、仕事が忙しくて送迎が大変なので、上の子が行ってた塾と同じでいいかと思ってるんです。しかも、そもそもまだこの子を塾に通わせることは考えてないので。」
ってね。
正直、驚いたよ。
と同時に、君のことが不憫でならなかった。
君がせっかく、自分の意思で行動をしたのに、
それを一瞬のうちに全て打ち砕く言葉だった。
ちょっと腹立たしくも思ったかな。
君のことをどう思ってるんだって。
親の都合だけで子供の意思を潰さないでほしい、ってね。
今君がどう過ごしているか、僕には知る由も無いけれど、
君が取った行動は十分に賞賛に値することだし、
そういう行動をした自分のことを、誇りに思ってほしいな。
君とはもうずっと会えないかもしれないけれど、
君のことはずっと忘れないと思うよ。
以上、春日部アカデミーから福地がお届けしました!